|    ■ プロローグ ■  | 
           
          
            
             
             
             
            2009年 夏――― 
             
            1日中、TVゲームと麻雀をして過ごすハズだった僕の楽しい夏休みは、胸の痛みによって一変した。 
             
             
             
             
            『どしたの元気ないね』 2009/07/01 19:29:19 
             
            「なんか胸が痛くてさ。肺なのかスジなのかわかんないんだけど」 2009/07/01 19:29:28 
             
            『スジ痛いの』 2009/07/01 19:29:33 
             
            「スジなのか肺なのか」 2009/07/01 19:29:46 
             
            『フォークでぐさぐさされてるような痛さ?』 2009/07/01 19:29:52 
             
            「グサグサじゃないなぁ」 2009/07/01 19:30:08 
             
            『どんな痛さなの』 2009/07/01 19:30:13 
             
            「ズキってかんじ」 2009/07/01 19:30:19 
             
            『槍って感じ?』 2009/07/01 19:30:22 
             
            「んー」 2009/07/01 19:30:27 
             
            「どっちかっていうとしみるような感じ+グサ」 2009/07/01 19:30:40 
             
            『しみる!!?』 2009/07/01 19:30:45 
             
            「タバコすうとしみる」 2009/07/01 19:30:53 
             
            『だめだめだめ』 2009/07/01 19:30:57 
             
            『絶対病院!!!!!!』 2009/07/01 19:31:08 
             
            「びょういんなの」 2009/07/01 19:31:15 
             
            『うんうん』 2009/07/01 19:31:20 
             
            「左側だけいたくなるんだよね 心臓がわ」 2009/07/01 19:31:42 
             
            『普通に心配だよ』 2009/07/01 19:32:07 
             
            「まぁ しんぱいいらないよ」 2009/07/01 19:32:19 
             
            「体重もふえてるし」 2009/07/01 19:32:24 
             
            『病院行ってから結果見て言おうよ!』 2009/07/01 19:32:44 
             
            『心配いらなかったよって><。』 2009/07/01 19:32:52 
             
            「なんかどっちかっていうと肩なのかなこれ」 2009/07/01 19:33:19 
             
            『タバコでしみるってだめだよ』 2009/07/01 19:33:23 
             
            「なんで」 2009/07/01 19:33:29 
             
            『聞いたことあるもん』 2009/07/01 19:33:38 
             
            「えぇ」 2009/07/01 19:33:39 
             
            「タバコでしみるの何なの」 2009/07/01 19:33:56 
             
            『行かないつもりなら押しかけて連れてくよ病院』 2009/07/01 19:34:02 
             
            『なんだっけか』 2009/07/01 19:34:07 
             
             
            『肺がん?』 2009/07/01 19:34:25 
             
             
            「ぎゃあー」 2009/07/01 19:34:28 
             
            『なんかだったよ』 2009/07/01 19:34:35 
             
            「こわいよう><。」 2009/07/01 19:34:40 
             
            『前兆のあれで見たような気がするもん』 2009/07/01 19:34:45 
             
            「まじすか」 2009/07/01 19:34:49 
             
            『うんうん』 2009/07/01 19:34:52 
             
            『ね?』 2009/07/01 19:34:56 
             
            『行こう?』 2009/07/01 19:34:58 
             
            「さすがに行かないとこわいね」 2009/07/01 19:35:01 
             
            『うん』 2009/07/01 19:35:04 
             
            『冗談抜きだよ行こう』 2009/07/01 19:35:10 
             
            「ふー」 2009/07/01 19:35:10 
             
            「いくか」 2009/07/01 19:35:12 
 
             
             
             
             
            こんなやりとりがあっても僕はまだ病院に行く気にはならなかった。 
             
            体重も増えていたし、衰弱もしていない。ガンなんて事はまず無いだろう、 
             
            放っておいても治る、と考えていたのだ。 
             
             
             
            しかし、ある日の風呂あがり、鏡に映った上半身を見て僕は病院へ行く事を決意した。 
             
            左胸が異常なまでに腫れていたのである。 
             
             
            最初はスジを痛めたせいで腫れたのだと思った。 
             
            しかし、腫れている箇所をよく見てみると、鎖骨の下から胸、脇の下にかけて腫れていたのである。 
             
            リンパ線の位置だ。 
             
             
            リンパ線が腫れる事はよくある。 
             
            風邪をひいても腫れる(※ウィルスの進入を拒むための免疫反応として腫れる) 
             
            だが今回の場合、頭をよぎるのはガンによるリンパ節の腫れ、リンパ節への転移だ。 
             
            肺ガンになればまずリンパ線が腫れる。 
             
             
            日に日に増す胸の痛みに加え、目に見てとれるほどのリンパ線の腫れ 
             
            「流石に病院か」 
             
            僕は携帯電話を手に取り、病院へ予約を入れた。 
             
             
             
            こうして予想だにしなかった僕の夏がはじまったのである――― 
             
             
             
             
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